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リジェネラティブとは一歩先を行く考え方。サステナブルとの違いや実例を紹介

リジェネラティブとは、環境分野において地球環境を悪化させず今の状態よりもさらに良くしていく取り組みのこと。地球温暖化などの異常気象によって破壊された自然環境を取り戻すためにも、リジェネラティブについて理解を深めてみませんか。本記事ではリジェネラティブの意味や、リジェネラティブに取り組む業界や実例を紹介します。

リジェネラティブとは

自然の中で深呼吸する女性

出典 Shutterstock

環境問題が深刻化する中、注目されているリジェネラティブ。まずは意味やサステナブルとの違いを見ていきましょう。

「再生させる」という意味を持つ言葉

リジェネラティブ(Regenerative)とは「再生させる」という意味で、地球環境を今より悪化させず良い状態に再生させるという考え方です。環境分野では「環境再生」と呼ばれます。現在、CO2などの温室効果ガスが原因で気候変動や地球温暖化が進んでいて、それによって荒廃した土壌や生態系を取り戻すための取り組みとしてリジェネラティブが注目されています。

サステナブルとの違い

サステナブル(Sustainable)は「持続可能な」という意味で、環境に負担をかけず、世代を渡って持続可能な在り方を目指すことを指します。サステナブルは環境を今以上に悪化させないことが目的で、それに加えて現状で起きている地球環境の問題を解決しながら、環境の再生も目指すのがリジェネラティブです。

【分野別】リジェネラティブな取り組み

現在さまざまな分野でリジェネラティブな取り組みが広がっています。自然環境のみならず、労働者や地域に住んでいる人の環境改善も重視されている昨今の分野別の取り組みをチェックしておきましょう。

農業

リジェネラティブ農業に取り組む人

出典 Shutterstock

農業では、作物を育てる土壌環境を改善していくため、リジェネラティブ農業という取り組みが行われています。リジェネラティブ農業により豊かな土壌になると、空気中のCO2から炭素を吸収し土壌に溜め込むため、空気中のCO2濃度を減らせます。土壌を改善し、豊かな土壌環境を育てることで、地球温暖化の進行を抑制する効果があります。

作物の中には、ビニールハウスや施設で栽培される野菜や果実もあります。それらを育てるための温度管理や養分を作るために化石燃料を燃やし、温室効果ガスが発生することも。このように農業自体が環境負荷の原因になることもあるため、リジェネラティブ農業が行われています。具体的な活動は、自然由来の堆肥を使う有機農法や、機械で耕さないことで土壌を豊かにする不耕起農法などです。

水産業

揺れる海藻

出典 Shutterstock

水産業では、水質を改善し自然由来の堆肥を使った養殖や、魚の住処となる海藻を育てる自然に優しいリジェネラティブ水産業を行っています。温暖化や工業廃水が海に流れて海藻が著しく減少する「磯焼け」が世界的に問題となっています。

海藻には、陸の植物と同様に水中の二酸化炭素を吸収し、酸素を排出する働きがあるため海の環境には欠かせません。また、海藻は海の生き物の住処や、産卵場所にもなるため生態系に重要な植物です。具体的な活動としては、海藻を増やしていくために、使用されていないウニの殻を使った堆肥ブロックを海中に沈め、藻場の再生活動などが行われています。

観光業界

旅先で自然の景色を眺める女性

出典 Shutterstock

観光業界では、旅行先で住んでいる人の環境や自然をより良くするようなリジェネラティブツーリズムが注目されています。リジェネラティブツーリズムでは、旅行中に支払ったお金や環境保全などの活動により、地域の人の暮らしや環境の改善に役立つことが目的です。観光に来た時よりも、去る時に環境が良くなるような新しい形の旅行や観光を目指しています。

ファッション業界

オーガニックコットンで作った服

出典 Shutterstock

ファッション業界でもリジェネラティブ農業によって栽培された作物を原料にするなど、人と環境に優しい服作りを目指しています。洋服の大量生産・大量廃棄などが問題視されているファッション業界では、環境負荷を減らすためのRO(リジェネラティブ・オーガニック)農法などの取り組みが行われています。

RO農法は、不起栽培で健全な土壌を構築する有機農法。土壌の健康と動物福祉、労働者の公平性の3本柱で構成されていて、気候変動への解決策として現在注目が高まっている農法です。

建築業界

自然を取り入れた建物

出典 Shutterstock

建築業界ではリジェネラティブデザインが進んでいます。リジェネラティブデザインとは、自然環境の改善をしながら人と自然との共生を目指すデザイン(設計)のことです。環境により良い影響をもたらすような商品やサービス、建築物などをデザインすることを指します。建材に自然由来の木や石を使うことや、周囲の環境に適した建築構造であることが重要です。

リジェネラティブの実例

ここでは各地域で行われているリジェネラティブの実例を紹介します。人の住む集合住宅や田畑でさまざまな取り組みが行われています。

CO2を吸収し酸素を生み出す集合住宅

酸素を生み出す集合住宅

出典 Shutterstock

イタリアのミラノにあるBosco Verticale(ボスコ・ヴェルティカーレ)という集合住宅です。直訳すると「垂直の森」で、その名のとおりそびえ立つ森のように建物が植物に覆われています。敷地内に2棟ある集合住宅は、27階建てと19階建てがあり、それぞれのバルコニーには高さ3〜6メートルの樹木と花が植えられています。この集合住宅では、年間に約7トンのCO2が吸収され、約8トンもの酸素が生み出されているそうです。

リジェネラティブな稲作

豊かに育った稲

出典 Shutterstock

ホテル事業を手がける株式会社サン・クレアではリジェネラティブな稲作を行っています。愛媛県松野町目黒地区では、自然にあらがわない米づくりを目指してさまざまな農法を実施。模索してたどりついたのが、田んぼを耕さない不耕起栽培です。ひとつひとつ丁寧に刈り取られたお米は、自然な状態でおいしく仕上がります。他にも、リジェネラティブをより多くの人に理解してもらえるようなイベントを開催しています。

自家製堆肥を使った農法

豊かな土壌の畑

出典 Shutterstock

岐阜県白川市町の五段農園は、各地域で出た有機物を使って自家製の堆肥を作り、化学肥料・農薬を使わず、作物を育てています。豊かな栄養をたっぷり含んだ堆肥で、玉ねぎ、にんにく、ズッキーニなどさまざまな作物が育てられています。循環型の有機栽培を行っている五段農園では、有機農業を学べる講座やワークショップが行われている他、SNSなどでも情報を発信中です。

リジェネラティブへの理解を深めて地球の未来を考えよう

改善した地球環境

出典 Shutterstock

リジェネラティブは地球の未来を現状維持するだけではなく改善していくための考え方です。各業界でも、一歩先を行く先進的な取り組みが行われています。生活の中での実践が難しい場合でも、リジェネラティブの活動をしているブランドの商品を購入することで地球環境の改善に貢献できます。ぜひアイテムを購入する際はブランドの取り組みもチェックしてみてください。

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JUNO
サムネイル: JUNO
趣味はカメラと美術館めぐり。アートからインスピレーションを得た自分だけのファッションを楽しむのが好き。

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