【連載 vol.31】最近話題の「サーキュラーエコノミー」とは?夏におすすめのサーキュラーアイテムも
「クローゼットからはじまるサステナブル」では、「サステナビリティ×ファッション」をテーマに、決して難しくない、肩のチカラを抜いてサステナブルファッションを取り入れるヒントをエシカルコーディネータのエバンズ亜莉沙さんが紹介。今回は最近話題の「サーキュラーエコノミー」を、その他のエコノミーとの違いやアイテムも交えて紹介。
目次
「サーキュラーエコノミー」とは?
街中ではあちこちで紫陽花の花が咲き始め、今年もいよいよ梅雨入りしましたね。
みなさんは夏の準備はできていますか?
今回は最近話題になっている「サーキュラーエコノミー」というトピックを考えながら、
それに因んだ、梅雨〜夏にかけておすすめのアイテムやブランドをご紹介したいと思います!
父の日のプレゼントにもよければ検討してみてくださいね。
少し難しそうなイメージがあるかもしれないですが、実は私達との生活に結びつきのある大変身近なものだったりします。まずは言葉の意味からみてみましょう。
言葉の意味
サーキュラー = circular = 循環
エコノミー= economy = 経済
合わせて “循環する経済” を意味し、 “循環型経済” または “循環経済” とも呼ばれます。
サーキュラーエコノミーの定義は様々ありますが、サーキュラーエコノミー推進機関である、エレン・マッカーサー財団によると、下記のようになります。
出典 https://ellenmacarthurfoundation.org『A systems solution framework that tackles global challenges like climate change, biodiversity loss, waste, and pollution. It is based on three principles, driven by design: eliminate waste and pollution, circulate products and materials (at their highest value), and regenerate nature. It is underpinned by a transition to renewable energy and materials. Transitioning to a circular economy entails decoupling economic activity from the consumption of finite resources. This represents a systemic shift that builds long-term resilience, generates business and economic opportunities, and provides environmental and societal benefits.
(サーキュラーエコノミーは、)気候変動や生物多様性、廃棄物や汚染といったグローバル課題に対処するためのシステムソリューションの枠組みだ。それは3つの原則に基づいており、デザインによってもたらされる:廃棄物と汚染を排除する、製品と原材料を(高い価値を保ったまま)循環させる、そして自然を再生する。これは再生可能なエネルギーと原材料によって支えられている。サーキュラーエコノミーへの移行は限りある資源の消費を経済活動の分離(デカップリング)をもたらす。これは長期にわたるレジリエンスを構築し、事業および経済機会を生み出し、環境および社会に便益をもたらすシステム移行を意味する。』
出典:エレン・マッカーサー財団 “Finding a common language — the circular economy glossary Circular Economy“より引用・翻訳
これだけ聞くとちょっと難しそう・・・と思われてしまう方もいるかもしれませんが、簡単な言葉で説明すると、
「廃棄物を無くし自然の循環の中で、自然とともに、社会や経済も回していく」
ということで、最終的には「環境負荷が+-0な経済の形」ということだと個人的には解釈しています。
言うは易く行うは難しなのではとも思えますが、実際に実現することはできるのでしょうか?
考え方
続いて、サーキュラーエコノミーの考え方をみてみましょう。
サーキュラーエコノミーにおいては、すべての資源や物質が「生物的サイクル」または「技術的サイクル」の2つの循環をたどるとしています。この2つの循環が蝶の羽に見えることから、「バタフライダイアグラム」と呼んでいます。
サーキュラーエコノミー・リニアエコノミー・リユースエコノミーの違いとは?
サーキュラーエコノミーをより理解する為に、似ているようで実は違う3種類のエコノミーの違いを見てみましょう。
リニアエコノミー(直線型経済)/ Linear Econony
今現在の経済システムは、「リニアエコノミー(直線型経済)/ Linear Econony 」と言われるモデルが主になっていて、図のように一方通行なイメージ。
新しい資源/Raw Material からものを作り/Production、使い/Use、最後は廃棄する/Non-recyclable waste という流れです。
リユーズエコノミー(再利用型経済)/Reuse economy
ではリサイクルやリユーズとは何が違うの?と思われる方もいるかもしれませんが、ここで大切なのはそれと「サーキュラーエコノミー」のモデルは別物ということ。
重なる部分もあるので、少しややこしく間違って使われている場面もあるかもしれませんが、リサイクルやリユーズは完全に循環するモデルの「サーキュラーエコノミー」とは実は言えないのです。
リサイクルやリユーズは、「リユーズエコノミー(再利用型経済)/Reuse economy」と呼ばれるモデルに含まれ、一部の資源を、多くの方に馴染みのある 3R (リデュース、リユース、リサイクル)の考えを元に、再利用するということ。
サーキュラーエコノミー(循環型経済)/Circular economy
最後にサーキュラーエコノミーについて。
エレン・マッカーサー財団の3原則にもある通り、廃棄物を出さずに循環システムが回る点で、リニアエコノミー・リユースエコノミーと異なる大きな違いです。
サーキュラーエコノミーの実例など、より詳しく知りたい方はぜひこちらの本をおすすめします!
サーキュラーエコノミー実践: オランダに探るビジネスモデル 著者:安居 昭博
それぞれのエコノミーの違いを知って、自分に出来ることから生活に取り入れてみましょう!
夏におすすめしたいサーキュラーなアイテムたち
まずは、普段選んでいるアイテムを変えることが、一番手軽に自分の生活に取り入れることだったりしますよね。そこで2つのブランドアイテムとセカンドハンドについて紹介します。
SHIFT80:ロングドレスシャツ
SHIFT80 あなたと世界をシフトする。利益の80%以上をシェアすることでよりよい世界をつくる、Africa × JapanのファッションブランドSHIFT 80(シフトエイティ)です。1フォロワーにつき給食1食分をアフリカに届けます。
Africa × Japanのファッションブランド。
服についているQRコードを読み取るだけで、ブランド側の利益の使い道を選び投票することができ、投票に応じて、生理用品をはじめとしたアフリカの女性への支援・貧困児童への学費支援・孤児と被虐待児への生活支援になります。
社会貢献度が高いだけでなく、不要になったアイテムの回収&再利用プログラムが用意されていて、服を返却すれば1,000円以上のクーポンがもらえる仕組みになっており、廃棄を減らす取り組みも◎
ストーリーも素敵ですが、カラフルな柄もとっても華やかで、梅雨のどんよりした日でも気分を明るくしてくれそうな一枚ですね。
indosole:サンダル
indosole バリ島発・廃タイヤをソールへ 循環型経済の発展を目指して
以前もご紹介させていただいた、廃タイヤをリサイクルしてサンダルを作っているバリ島発のブランドですが、今季から、廃タイヤだけでなく、廃棄されていたスニーカーのソールもリサイクルするプロジェクト「THE LOST SOLE」を始動。
その背景としては、バリ島のあるインドネシアは実は様々な大手シューズメーカーの生産地だそうで、インドネシア全体からは毎月2,000万足以上の靴が国外に輸出されているといいます。
工場から出ることのない欠陥品は1%に満たないそうですが、その数はなんと約20万足・・・。
indosoleは独自の廃タイヤのリサイクル技術を活用し、そんな行き場をなくしたスニーカーのソールも100%リサイクル可能に! そこから新たにサンダルをつくることに成功しました。
またそれ以外にも海岸に打ち上げられたサンダルや、お客様の使わなくなったサンダルも回収する取り組みも進め、循環型経済の発展を目指しています。
カラーバリエーションやサイズ、形も種類豊富で、夏の相棒になりそうな一足が見つかるかも!
セカンドハンド
どんなアイテムでも新しくものをつくるにはやはり多かれ少なかれエネルギーが必要となります。完全な「サーキュラーエコノミー」の実現を目指す道を歩んでいる時代である今は、そのような目標を掲げ努力する企業のことを応援しつつ、セカンドハンドもぜひ合わせて取り入れたいもの。
最近では古着を回収するボックスを設置しているブランドや企業も増えてきましたが、私たちがそんなボックスに服を持っていくことも、その企業のサーキュラーな取り組みに参加し、応援することを意味します。
セカンドハンドもいいけど、新しいアイテムが必要!という際はぜひ「サーキュラーエコノミー」に取り組むブランドを探してみてはいかがでしょうか。