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コラム

【連載 vol.52】世界が注目?!服のリサイクル工場

「クローゼットからはじまるサステナブル」では、「サステナビリティ×ファッション」をテーマに、決して難しくない、肩のチカラを抜いてサステナブルファッションを取り入れるヒントをエシカルコーディネーターのエバンズ亜莉沙さんが紹介。今回は、エバンズさんのリサイクル工場見学レポートをお届けします!

世界が注目する画期的な「服のリサイクル工場」の見学へ行ってきました!

Circular Fashion

マテリアルリサイクルと言われる一般的なポリエステル素材のリサイクルは、繰り返していくうちに素材の品質が劣化し、リサイクルできる回数に限界があると言われていることをみなさんご存知でしょうか。

今回見学させていただいた株式会社JEPLANの北九州響灘工場では、「ポリエステル繊維100%の使用済衣類を原料としてケミカルリサイクルし、石油由来と同等品質の再生ポリエステル樹脂を製造」して永久的なポリエステルのリサイクルを可能にする、そんな技術をもった画期的な施設なんです!

一体どんなリサイクルなのか、レポートしたいと思います。

① ハチが花の蜜を集めるように”資源”を回収

現在JEPLANさんに賛同し、古着の回収拠点として協力している企業・ブランドは200以上!
この回収拠点には回収ボックスが設置されることが多く、アパレルブランドの店頭やその他短期間イベント会場に設置されることもあるそうです。
トレードマークの「ハチ」のキャラクターが描かれた共通の回収ボックス。見かけたことのある方も多いのではないでしょうか?
それもそのはず。回収拠点時点は、全国各地に4000箇所以上あるそうなんです!(2023年12月現在)

もしかしたら皆さんの家のすぐ近くにもあるかも!?
気になる方はぜひこちらのマップで調べてみて下さい。

全国各地に回収ボックス

② 選別作業

そのようにして全国各地で集められた服がこの工場にやってくるのですが、回収拠点が多いこともあり、集まる量もすごく……なんと毎日約100箱ほど届くそう! 
枚数にしたら何着になるのでしょうか……。

集めた服はそれぞれ素材が異なるので、リサイクルするためには素材ごとに分ける必要があります。
この量の服をどうやって仕分けているのかというと、まさかの手作業!
箱を開封し、1着1着タグを見ながら素材ごとに分別していきます。

工場に到着後選別作業へ

まだ着られる綺麗な状態の服(回収の75%ほど)はリユースにまわされ、その他はそれぞれ素材や状態によって、

・再生ポリエステル
・再生ウール
・自動車内装材

などに生まれ変わります。

今回私の訪れた工場でリサイクルされているのは、ポリエステル100%、またはそれに近い素材のアイテムたち。
主流な服のほとんどが混紡素材なため、ポリエステル100%のものは全体の7~8%ほどだそう。

ただ、実は現在この工場では混紡素材もケミカルリサイクルの力で分子レベルに分解し、服から服へのリサイクルを可能にできないかという研究が進められています。期待大!!

③ プラント内でケミカルリサイクル

プラントへ投入→ペレット状に

選別されたポリエステルの服たちはいよいよプラントに投入されます!

残念ながらプラントの中の様子は見ることができませんが、工程のサンプルを見せていただきました。

資源の加工の様子

画像提供:株式会社JEPLAN

循環の輪

日本では年間でおよそ29億点のアパレル製品がつくられ、その多くが最終的に「ゴミ」として処分されていると言われています。“そもそも作りすぎでは!?”という疑問は一旦置いておいて、これらの多くは視点を変えれば「資源」となりうる服たち。
環境負荷が高く、環境汚染も深刻なファション産業ですが、付き合い方次第で服は多くの人の日常を明るく彩ってくれたり、ポジティブな面も多くありますよね。

BRING Technoligyがある世界

出典 BRING

また、今回フォーカスをあてたポリエステル素材は、速乾性や通気性などの機能性に優れた素材で繊維産業には欠かせない存在となっています。ただし、地下資源を掘り続けることは環境負荷があまりに高く、サステナブルで健康的な生活を目指した時に現実的ではありませんよね。

今回ご紹介させていただいたような技術を活用し、できる限り今ある服を循環させることができれば、その負荷や汚染は大幅に減らすことができます!

捨てられてしまう服を減らし、循環するファッションを楽しめる時代の流れはもう目の前。
古着をワードローブに取り入れたり、着られなくなった服はBRINGさんのボックスに持っていくなど、一緒に循環の輪に加わってこの流れを加速させていきたいですね。

それではまた次回!

writer profile
エバンズ亜莉沙
サムネイル: エバンズ亜莉沙
エバンズ亜莉沙(えばんず・ありさ):学生時代 米国オレゴン州で環境科学の授業に出会ったことをきっかけに、自分と世界の繋がりに気づく。2015年日本に帰国後、国際NGOでインターンをしながら、エシカル協会主催 フェアトレードコンシェルジュ認証 21歳で取得。同年世界一周を経験し、様々な人や文化に触れたことでさらに世界の抱える問題や解決策に興味関心を抱く。現在はフリーランスで『サステナブル』や『世界に自分に優しいライフスタイル』をキーワードに、SNSを中心とした発信、イベントへの登壇や、様々なプロジェクトのディレクター / コーディネーターを務める。