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洋服・靴

お着物のクリーニング。お手入れ方法や依頼先など

日常着は洗濯機で、デリケートな衣類は手洗い、ドライクリーニング指定のものはクリーニング屋さんへ持っていくというのが一般的な洋服の洗い方ですが、着物についてはどうなのでしょうか?汚れてしまった時には洗うことができるのかなど、大切な着物を長く楽しむために知っておきたいクリーニングの知識をご紹介します。

着物をクリーニングすることについて

着物のクリーニングといわれても普段から着慣れていなければ、ピンとこない人も多いでしょう。そもそも着物にクリーニングは必要なのでしょうか?また、必要であるならば、どのくらいの頻度でクリーニングすればよいのでしょうか?

着物もクリーニングが必要

結論から言えば、着物にもクリーニングが必要です。
着れば汗をかきますし、目にはっきりとは見えなくてもやはり汚れは付いていると考えるべきでしょう。着れば汚れるから洗うという考え方は、洋服となんら変わりません。

ただ、肌襦袢を下に着込む場合が多いことや、正絹という素材がクリーニングにより受けるダメージを避けるため、洋服よりもクリーニングの頻度は低くなることが一般的です。

クリーニングの頻度は状況次第

洋服でいうところの下着に当たる肌襦袢はこまめな洗濯がおすすめですが、長襦袢や着物は、基本的に着るたびに洗う必要はありません。

毎日にように着物を着るという人もいれば、年に数回しか着ないという人もいるでしょう。結局のところクリーニングの頻度は状況次第ということにはなりますが、ときどきおしゃれ着として着る程度なら、シーズン終わりの衣替えのタイミングでクリーニングすれば十分と考えられます。

ただし、滅多に着ない留袖や喪服などといった冠婚葬祭用途の着物の場合は、一度着用したらすぐにクリーニングするようにしましょう。次回着用のタイミングまでにかなりの時間が経過することが予想されますので、着物に残った汗などがしぶといシミ汚れとなって残ってしまう可能性があります。

子ども時代に着た着物を久しぶりにたんすから取り出してみたら、茶色いシミがあちらこちらにできていたというような例は、残っていた汗の成分が数ヶ月、数年と経つうちに汗ジミとして現れ、固着してしまったケースです。

基本的にはお店に依頼

自分でできるちょっとしたお手入れは、着物を長持ちされるために欠かせません。
たとえば、帰宅して脱いだ後にホコリをサッと払う、陰干しをする、半衿に付着した部分的な汚れをベンジンを使って落とすなどです。

ただ、こうした自分でも対処できる範囲内の日常的なお手入れとは別に、本格的にクリーニングするとなれば、業者に依頼することが一般的です。

着物は正絹というデリケートな素材でできていることが多く、また、「きせ(縫い目を完全に開かない処理)」がかかっていたり、縫い(刺繍)や箔などの装飾があったりなど、着物ならではの事情もあり、洋服のクリーニングとは異なる点も少なくありません。そのため、専門知識を持ったプロに任せるのがやはり安心でしょう。

なお、ポリエステルなどの化繊を素材としたいわゆる「洗える着物」として販売されているものについては、指定の洗濯方法に従い自宅でクリーニングすることも可能です。

着物のクリーニングの種類

専門業者に任せることが一般的な着物のクリーニング。その種類にはどういったものがあるのでしょうか?クリーニングに出す前に、知識として押さえておきましょう。

丸洗い

洋服でいうところのドライクリーニングにあたる方法が丸洗いです。専用の溶剤を用いて水を使わずに洗う方法で、油性の汚れを落とします。「生洗い(いきあらい)」や「京洗い」などと呼ばれることもあります。

汗抜き

水溶性の汚れである汗を落とすタイプのクリーニングが汗抜きです。高圧の蒸気を当てる方法が主流となっています。

洗い張り

着物を一旦ほどき、反物の状態に戻した上で水洗いをするクリーニング方法が洗い張りです。洗い終えると、伸子(しんし)という竹ひごのようなものを使ったり、張り板に貼り付けたりしてピンと張った状態で乾かします。

洗い張りが完了した後は、前身頃や後ろ身頃などの各パーツを再度縫い合わせて仕立て直します。綺麗に水洗いすることができますが、着物のほどきと仕立直しの作業があるので、他のクリーニングに比べ、手間や時間、費用がかかる方法です。

着物の状態のままで水洗い

近年では技術の進歩に伴い、着物をほどくことなくそのままの状態で水洗いするというクリーニング方法も登場しています。

「ハッピー ケアメンテ®」では特殊技術「きもの無重力®」を用いて、大切な着物を仕立てたままですっきりと洗浄。洗い張りをするとなると負担が大きいのでなかなかできない、でも丸洗いでは汚れが落ちきらないという場合に向いているクリーニングといえるでしょう。

シミ抜き

着物全体のクリーニングとは異なりますが、薬品や溶剤、機材などを用いて目立つシミを集中的に除去する方法がシミ抜きです。
丸洗いなどと組み合わせて行われる場合もあります。

着物のクリーニングの依頼先

実際に着物をクリーニングに出す場合、具体的にどこへお願いすればよいのでしょうか?

呉服店を通して依頼

着物を購入した呉服店を通じてクリーニングをお願いする方法があります。購入した呉服店とは別の呉服店でも依頼できることは少なくありませんので、購入した店が遠方にあるなどの場合は、近隣の呉服店をあたってみましょう。

呉服店は、預かった着物を取引のある業者に渡し、クリーニングを依頼することが一般的。つまり、呉服店はあくまで窓口であり、仲介料が発生します。

しかし、懇意にしている呉服店があり、日頃からそこで着物をたびたび購入している場合は、クリーニングを含む着物のあれこれがその呉服店のみですべて済むため、手間が省けるというメリットがあります。

悉皆屋(しっかいや)に依頼

その名のとおり、着物のことならシミ抜きから染め替えまで悉く(ことごとく)請け負ってくれるのが悉皆屋です。

呉服店に依頼した場合も、結局は悉皆屋へクリーニングを回されることが大半。そのため、直接悉皆屋に依頼するのは、呉服店の仲介を省く方法ともいえます。

悉皆屋は、細分化された各作業をさらに個々の職人に割り振り下請けに出す仲介業者的な店と、自社で各種作業・加工を行なう店の2種類に分かれます。

シミ抜き業者などに直接依頼

悉皆屋からさらに下請けに出される先の個々の業者に直接依頼するという方法もあります。

作業する職人さんのところへ直接持ち込むわけですから、仲介料が発生しない分、費用も軽減されるでしょう。

そうした業者さんが集まっている地域が近隣にある、信頼できる業者さんを知っている、または紹介してもらえる、といった条件が揃っているのであれば、ぜひ検討してみましょう。

クリーニング店に依頼

街にある一般的なクリーニング店の中にも、着物のクリーニングを受け付けているところもあります。

ただし、もともとシミ抜き専門業者が母体となっているような技術の高いクリーニング店がある一方、あくまで洋服のクリーニング店だが着物も受け付けるというスタンスのお店もあり、店ごとに技術力に差があります。少なくとも専門知識を持っているかどうかという点は、大切な着物を託す前に確認しておきたいところです。

専門業者に依頼

着物のクリーニングを専門に行なっているクリーニング店に依頼する方法もあります。

専門であるだけに技術力も高く、安心して依頼できる場合が多いでしょう。また、業者間での取引が基本である悉皆屋などに比べ、もともと個人客を想定しているだけに、宅配便を利用してのやり取りなど一般客向けサービスが充実していることも多く、利用しやすいといえます。

着物を楽しむ!素敵コーディネート

お気に入りの着物はしっかりとお手入れして、長く大切に着続けたいもの。ここでは、着物でのおでかけがさらに楽しみになるコーディネート例をご紹介します。

ブルー×イエローのモダンコーディネート

淡いブルー×落ち着いたイエローの組み合わせが大人可愛い着物コーディネート。モダンなアクセサリーや帯留めを添えて、こなれた印象もプラス。

バラがテーマの華やかで上品なコーディネート

着物と帯をバラ柄で揃えた華やかなコーディネート。存在感のある半衿も程よいアクセントになっています。派手すぎない艶やかさで上品な雰囲気に。

ハンサムカラーを着こなす着物上級者コーディネート

鮮やかな茄子紺の色無地に、淡い柄の帯が絶妙なバランス。花モチーフの帯留めもファッションのポイントとなり、ハンサムで華やかな着物コーディネートに仕上がっています。

適切なクリーニングで大切な着物を受け継ぎ、楽しむ

着物に付いた汚れは、今は目に見えなくても、数ヶ月、数年と経つうちにシミとなって浮き上がってくるものです。大切な着物を長く楽しみ、受け継いでいくためにも、着物のクリーニングは信頼できる業者に依頼するようにしましょう。

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rino
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スタイルのお手本は自由に生きるパリジェンヌ達。作り込み過ぎないシックなスタイルが得意。