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コラム

【連載 vol.5】冬にぴったり!あったかウールのニット帽「Myssyfarmi」

「クローゼットからはじまるサステナブル」では、「サステナビリティ×ファッション」をテーマに、決して難しくない、肩のチカラを抜いてサステナブルファッションを取り入れるヒントをエシカルコーディネータのエバンズ亜莉沙さんが紹介。今回はウールのニット帽でサステナブルな取り組みをしている「Myssyfarmi」を紹介します。

冬のあったかアイテムに、少しだけサステナブルを。

いよいよさむ~い冬の季節、もこもこなニットが欠かせない方も多いのではないでしょうか?私もその1人です。冷えは万病の元とも言われるほど。私は、普段から冷えやすいので朝の一杯には白湯を飲んだりしながら、日中も体を温めることを意識してはいるものの、やはり服装が暖かくないと外には出かけられません・・・。

カラダを温めてくれるウール素材のルーツとは?

そんな時に身に付けたくなるのが“ウール(羊毛)”。ウールは暖かいし、冬場の寒さをしのぐためにこだわりたいアイテムの1つです。

毛糸がたくさんある様子

セーターはもちろん、マフラーや手袋、ニット帽、コートなど、ウール素材の様々なアイテムは秋に入る頃からお店に並び始めます。今年はニット帽を新調しようとセカンドハンド店や様々なブランドを転々としながら探していたのですが、コットン素材の商品と同じく、気になるのはやはりアイテムの生産背景やストーリー。

「何か自分の大切にしたいコンセプト(地球・人に優しい)に合っていて、長く使える商品はないかな?」と思いながら探していました。特にウールはアニマルライツの観点から、羊が乱暴な扱いをされているという話も聞いたことがあり・・・。

そんな時たどり着いた驚きの事実が、北欧フィンランドのウールの60%以上は廃棄物として燃やされているということ。

牧場に羊がいる様子

羊の毛は1年に2度、羊の健康を保つためにカットされているらしいのですが、フィンランドではまだ未開拓のビジネスであることから、市場価値が低く、それを理由に使われないウールは焼却処分されているというのです。

なんともったいない・・・。

羊の毛をカットする際も優しくカットされているかなど、他に気になる点もありますが、この60%を廃棄という数字があまりに衝撃的で、そのウールがあればどれほどの人が冬を快適に過ごせることだろうかと、想像してしまいました。

サステナブルなニット帽ブランド「Myssyfarmi(ミッシーファルミ)」

ですが嬉しいことに、そんな課題を解決するための、サステナブルなブランドが存在するのです!それが、「Myssyfarmi(ミッシーファルミ)」。

ニット帽をかぶった男女が佇む様子

「Myssyfarmi」はこういったフィンランド各地のオーガニックな羊毛を集めてニット帽にし販売することで、羊牧場に公正な価格を支払って取引を行い、この廃棄の流れを変えることを目指しています。

そして、このブランドの商品たちは全てフィンランドに暮らすおばあちゃんの手作り!

おばあちゃんたちが集まっている様子

フィンランドの南西部に300年続く小さな農場地域のおばあちゃん職人たち、「ミッシーグランマ」が編んでいます。手作りということは、手間隙はかかりますが、機械を使用しないことから、大量の電力や水の消費も少なく、環境負荷が少ないといえます。ホームページを見てみるとミッシーグランマたちが楽しそうに帽子を編む姿が写真で掲載されており、やりがいを感じていることも伝わってきます。

また、商品内側のタグには、一つ一つ作り手さん(ミッシーグランマ)のサインが手書きされていて、ますます温かみを感じます。この他にも染色も天然素材を使い、手作業で行われていたりと、書き出すとキリがないほどこだわりがたくさん。

ニット帽をかぶっている女性

このブランドを立ち上げた、ヤンネ・アンナ夫妻は、4人の子供を持つ親でもあり、以下のように製品の素材や作られる過程に妥協はありません。

・地球に良い素材
・長く使える質の高さ
・誠実な製法

まさに、未来を考えたサステナブルでエシカルな商品。セカンドハンドのアイテムはもちろん、このように透明性があるブランドや商品が増えていくことは、より身近にサステナブルを取り入れられるきっかけになりますね!

草原に佇むMyssyfarmiのメンバー

肩のチカラを抜いて、サステナブルファッションを楽しんで

身の回りの一つ一つのモノにはこのように背景があり、物語がある。

そのことをいつも頭の片隅に置きながら、普段身につけているアイテムがどこで、誰によって、どのように作られているのか、少し疑問を抱くことで、見えてくることはたくさんあります。

何よりまず知ることは様々な課題の解決へのとても大きな一歩!私も日々学んでいます。活動をしていて最近とても思うのは、誰も”完璧”を目指す必要はないということ。

「サステナブルやエシカルについて、知り始めると小さな問題から大きな問題まで、考えれば考えるほど複雑で、到底自分1人ではどうにもできないような気持ちになってしまう」というような相談をよく受けます。

女性が秋冬ファッションを楽しんでいる様子

ですが、例えばヤンネ・アンナ夫妻が自分の子供達の未来を考えて、このような優しいブランドを立ち上げたように、まずは自分が大切だと思う人やもの大切にすることを始めてみる。ブランドを立ち上げるという大きなことでなくてもちろん大丈夫です(笑)

買い物の際にストーリーに共感できるものを選ぶことや、お気に入りのブランドの生産背景についてちょこっと検索してみることは、小さな行動に見えてとても大きな意味を持ちます。

他にも週末にビンテージやセカンドハンド品を扱う古着屋さん巡りをしたり、着なくなった服は誰か他に似合いそうな人に譲ったり、そういった楽しく気軽にできることもファッションのサステナビリティに繋がっています。楽しく優しくファッションを楽しむ方法は多種多様にあることを知ってもらえたら嬉しいです!


今回も最後までお読みいただいた皆さん、本当にありがとうございます!くれぐれも暖かく過ごしてくださいね 。

次回もどうぞお楽しみに!

writer profile
エバンズ亜莉沙
サムネイル: エバンズ亜莉沙
エバンズ亜莉沙(えばんず・ありさ):学生時代 米国オレゴン州で環境科学の授業に出会ったことをきっかけに、自分と世界の繋がりに気づく。2015年日本に帰国後、国際NGOでインターンをしながら、エシカル協会主催 フェアトレードコンシェルジュ認証 21歳で取得。同年世界一周を経験し、様々な人や文化に触れたことでさらに世界の抱える問題や解決策に興味関心を抱く。現在はフリーランスで『サステナブル』や『世界に自分に優しいライフスタイル』をキーワードに、SNSを中心とした発信、イベントへの登壇や、様々なプロジェクトのディレクター / コーディネーターを務める。