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コラム

【連載 vol.6】“イリオモテヤマネコ”モチーフのシューズで西表島の自然保護に貢献

「クローゼットからはじまるサステナブル」では、「サステナビリティ×ファッション」をテーマに、決して難しくない、肩のチカラを抜いてサステナブルファッションを取り入れるヒントをエシカルコーディネータのエバンズ亜莉沙さんが紹介。今回は“イリオモテヤマネコ”モチーフのシューズで西表島を守る活動を紹介します。

おしゃれなシューズをはくだけで、サステナブルな行動に!

突然ですが、先日初めて沖縄の八重山列島の島、西表島に行ってきました!

環境省と「Us 4 IRIOMOTE」というプロジェクトが主体となり、「エシカルツアー」を体感し、考える企画の一環として参加させていただいたのですが、なぜこれがファッションに繋がるのかというと・・・読み進めていただけると嬉しいです!

西表島を空からみた様子

沖縄本島・石垣島・竹富島には以前行ったことがあるのですが、西表島までは行ったことがなく。というのも、行くまでにまず、羽田空港〜那覇空港〜石垣島〜西表島、と飛行機の乗り継ぎ+フェリーに乗ってようやく辿り着くことができる、秘境のような場所。

移動はもちろん大変ですが(door to door 10時間位かかったかな?もはや海外に行く感覚!)、今回行ってみて感じたことは、「行く価値は十分にある!」ということ。日本に暮らしながら行かないのはもったいない素晴らしい出会いがそこには待っていました。

西表島の素晴らしい自然と守るべき文化

90%が国有林として残されているこの島には、多種多様な動植物たちが暮らしています。そしてそこで暮らす人々は昔から現在まで変わらずその自然と共存する暮らしを営んでいます。

青く輝く海、マングローブの森、珍しい鳥たちや、絶滅危惧種に登録されているイリオモテヤマネコなど、書き出したらキリがないくらい貴重な動植物たちを身近に感じることができます。

ざっくりとした今回のツアー工程は以下のような感じです!

マングローブ林の間の川をまだ暗いうちからカヌーで進み、星空から朝焼けに変わる空を眺めたり、

西表島ツアーの様子

ピナイサーラの滝までのトレッキングコースを歩きながら様々な生き物たちと出会い、小さな葉っぱから虫、倒木にもそれぞれこの森が循環するための役割があることを学んだり、

西表島ツアーの様子

海水を汲み上げ、塩分濃度を高めた塩水から、お塩作りを体験したり、

西表島ツアーの様子

琉球伝統のマングローブ染を体験したり(しかも染めさせてもらったのは職人さんが蚕から育てて糸を紡ぎ、布に織った純オーガニックな絹のスカーフ!)、

西表島ツアーの様子

本当にたくさんの貴重な体験をさせてもらいました。

抱える課題と私たちにできること

美しい自然、そして文化を全身で体感すると同時に、この島の抱える様々な問題、課題も見えてきました。

美しい砂浜にたどり着くとそこには大量の漂着ごみが・・・

ほとんどが海外から海流によって打ち上げられたものでしたが、逆に日本のゴミは海外に流れ着いているということも知りました。拾いきれないゴミの数に無力感を感じながらも、自分たちにできることは何か。そんな事を考えながらマイクロプラスチック拾いを行いました。

西表島に捨てられているプラスチックごみ

また、今、この島の人たちが考えているのは観光との上手な関り方。

この島の人口は約2,500人。それに対し、年間島を訪れる観光客数は20万人以上(2019年度)いるというので驚きです!

しかしながら、その大半の人が日帰りであるため、訪れる観光スポットが似通り、1箇所に人が集中しすぎてしまったり、貴重な動植物を守る知識が不十分なまま、入ってはいけない場所に足を踏み入れてしまうことや、ゴミを放棄して帰ってしまうなんてことも・・・

また、観光客が運転している車と、絶滅危惧種のイリオモテヤマネコが接触事故を起こしてしまうこともあるそうです。環境省は道路下に生き物の通り道になるアンダーパスを整備したりと様々な取り組みをしていますが、スピードを出している車との事故が避けられないパターンも。

実は来年には世界遺産に登録されるかもしれない予定のあるこの島は今後、より訪れる人も増えていくことが予測されています。嬉しい反面、島の人たちは、自然と一緒に優しく暮らすことができるためにはどうしたら良いか、試行錯誤していました。

私自身も、そんな島の人の想いに触れ、何か島に貢献できることはないかと考えていたのですが、ファッションを通してこれに貢献できる方法があったのです!!
(やっと出てきたファッション。笑)

イリオモテヤマネコの模様をモチーフにしたデザインがなんとも可愛いこのシューズ。実は、購入すると売上の10%が西表島の明日を守るプロジェクト "Us 4 IRIOMOTE" に活用される仕組みになっています。

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【Us4IRIOMOTEプロジェクト】とは

西表島で夕日を眺めている様子

"Us 4 IRIOMOTE" は、「知ろう」「守ろう」「話そう」「残そう」の4つがキーワードになっている、西表島の豊かな自然と文化を「明日」に継承していくために、ツーリストの私達ひとりひとりができることを考え、発信していくプロジェクト。西表島で活躍する動物・自然保護活動を行うNPOを支援できる他、観光客に向けたマナー啓蒙、文化発信PRにも貢献することができるのです!

"Us 4 IRIOMOTE"の説明画像

まさに今回のツアーを通して体感した、まずは西表島の美しさや素晴らしさ、課題を「知る」こと。その知るという過程の中でも自然を傷つけないような気遣いや体験を通して「守る」活動に加わること。体験を通して感じたことや学んだことを一緒に参加したメンバーと語り合い様々なアイディアを「話す」ということ。そして話したアイディアをそれぞれの形で「残し」未来につなげていくということ。

モノを買うことで、自然を守ること、未来を守ることにつながる。

西表島は行ったことのない人には遠い場所に感じるかもしれません。けれどそこには私たち1人1人の生活につながるものがあるということを体感しました。

1つの靴を通して与えられる影響はとても大きなものです。

さらにこのシューズは生産過程にもサステナブルな視点が!「UNEEK EVO = EVOLUTIONAL FIT(EVOFIT)」という廃棄物を軽減するコードジャンクションアッパーとニット素材、接着剤を低減する製法を採用したエコロジカルプロダクトということで、生産過程や原材料においても環境負荷の少ないシューズになっているのがまた素敵。

ちなみに、このシューズを生産しているKEENさんは、リサイクルPETを繊維として再活用したシューズなども展開しており、様々な角度から未来を考えた物づくりを行っているブランドです。(ちなみにアメリカ オレゴン州 ポートランド発祥であり、数年前私が暮らしていた場所!)

西表島の自然を守ることに貢献できるこのイリオモテヤマネコのモチーフのシューズで、来年もアウトドアを楽しみたいと思います!

砂浜で靴を履いている様子

皆さんの考える「エシカル」や「サステナブル」な旅、そしてファッションとはどのようなものでしょうか?そんなことも考えながらこのクリスマスのプレゼントを選んだり、いつかの旅の計画を立てられたら素敵ですね☺︎

先日、“風の時代”という新時代に入り、2020年も残すところ僅か数日。この特別で新しい流れの中で、より一人一人が心地よく生きていける世の中になっていくことを願っています。みなさま良い年をお迎えください!!

また来年お会いしましょう〜!


※西表島写真クレジット ©Choji Nakahodo




映画「Us4 IRIOMOTE」の予告編

"Us 4 IRIOMOTE"のドキュメンタリー映画の予告編です。今回の連載で興味を持って下さった方がいたら、ぜひご覧ください!

writer profile
エバンズ亜莉沙
サムネイル: エバンズ亜莉沙
エバンズ亜莉沙(えばんず・ありさ):学生時代 米国オレゴン州で環境科学の授業に出会ったことをきっかけに、自分と世界の繋がりに気づく。2015年日本に帰国後、国際NGOでインターンをしながら、エシカル協会主催 フェアトレードコンシェルジュ認証 21歳で取得。同年世界一周を経験し、様々な人や文化に触れたことでさらに世界の抱える問題や解決策に興味関心を抱く。現在はフリーランスで『サステナブル』や『世界に自分に優しいライフスタイル』をキーワードに、SNSを中心とした発信、イベントへの登壇や、様々なプロジェクトのディレクター / コーディネーターを務める。