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リサイクルを意識したアパレルメーカーが急増!衣類の廃棄問題を解説

お店の中に、古着を回収するボックスが設置されているのを見た方もいるかもしれません。近年、リサイクルを意識し衣類の回収へと乗り出すアパレルメーカーが急増しています。アパレル業界にとって、日々エスカレートする衣類の廃棄問題は悩ましい存在。ここではアパレル業界が抱える課題と、リサイクルに出す衣服の選別方法について解説します。

アパレルメーカーがリサイクルを意識した理由

数多くのアパレルメーカーが衣類を回収し、リサイクルに積極的な姿勢を見せたのはなぜでしょうか。実はアパレル業界は、なかなか解決できないシリアスな問題を抱えています。

衣類の消費量が増加している

常に服を買い替え続ける大量消費のライフスタイルにより、衣類の消費量は急増し、大きな問題となっています。全世界では2000年から2015年の間に、1人あたりが購入する服の数は約2倍にも膨れ上がりました。日本だけを見ても、1990年から2018年の間の人口増加率は約2パーセントに対し、衣類の消費量は16.4パーセントも増加。

この数字は1着の服を着る回数が減り、まだ着られるはずの服が処分されている現状を物語ります。

リサイクル率の低さが問題視されている

買われることなく売れ残った衣服は、約7割以上がそのまま処分されています。リサイクルに回されるのは約1割で、リサイクルしても新たな衣類になるのではなく、断熱材や掃除用クロスにされるのが現状です。

このリサイクル率の低さは、単に人々の意識の問題ではなく、異なる繊維が混ざって作られた衣類は技術面でリサイクルが難しいこと、製造過程で出されるゴミに対して規制が弱いことなどが原因。また、従来は古着が必要だった海外の国が、発展とともに新品を買うようになったことも関与しているでしょう。

新型コロナウイルスの影響で古着が輸出できない

これまで地域の資源回収の対象となった古着は、フィリピンなど東南アジアへ送られていました。しかし新型コロナウイルスの流行は古着の流通にも影響を与え、輸出できないために古着を受け取らない業者が増加しています。

資源の大量消費を懸念している

私達が普段着ている衣類を作るには、大量の資源が必要です。素材が綿であれば、綿を育てるのに大量の水と肥料が要るでしょう。ナイロンやポリエステルといった合成繊維であれば、石油を大量消費しなければなりません。また、繊維を染めるにも大量の水を使い、染め終わった水を排水しています。

アパレル製造が環境へ悪影響を与える

近年ではフリースやレギンスなど、合成繊維から作られる衣類の需要が増加。しかし合成繊維を作るには、温暖化の原因となる温室効果ガスを放出しなければなりません。アパレル製造業者が1年間に排出する温室効果ガスは、世界すべての国際航空便と船舶を合わせたガスの排出量を上回るとされています。

またナイロンなどの合成繊維を洗濯する際に出るプラスチック・マイクロファイバーは、海洋プラスチック汚染の原因になることも。私達が幸せな気分になるための服で、自然環境を悪化させるのは避けたいものです。

リサイクル活動を行っているアパレルブランド

ファッション業界が地球環境へ与える影響が問題視される今、メーカーが衣類を回収しリサイクルへ回す動きが急増中。ここではリサイクル活動を行っているアパレルブランドと、回収方法、回収された衣類が何に生まれ変わるかを紹介します。

UNIQLO/GU

ファーストリテイリンググループのUNIQLOとGUでは、UNIGLOとGUの全商品を対象に衣類回収を行っています。回収方法は簡単で、お店に設置されたリサイクル用の回収BOXへ、洗濯済みの衣類を入れるだけ。

回収された古着は難民キャンプなど、服を必要としている地域へ衣料支援されます。再利用に適さない服は、燃料やリサイクル素材にされているというから、無駄なく再活用できますね。

H&M

アパレルブランドによるリサイクルというと、そのブランドの製品でなければ受け取らないイメージがあるかもしれません。H&Mでは自社製品のみならず、他ブランドの衣類も回収しています。服だけでなく、靴下や帽子などのファッション小物、シーツや毛布などの寝具も対象です。

利用するには、袋へ不要になった服を詰め込み、店舗のレジもしくはリサイクルBOXに持っていきます。古着1袋につき1枚、次回使えるクーポンが貰えるのも嬉しいところです。回収された衣類は、状態の良いものは古着として海外で販売され、着用できないものはリメイクコレクションや清掃用品などに生まれ変わります。

ZARA

ZARAでは一部の店舗で、不要な衣類の回収を実施中。近くの店舗がリサイクルを実施しているか公式サイトで確認し、設置されたコンテナに衣類を持って行くと回収されます。

回収した衣類はNPOへ寄付され、再び生まれ変わる道へ。ニューヨークやロンドンなど海外のZARAでは、自宅もしくは近くの配達ポイントまで衣類を回収に来るサービスが始まっているので、日本でも早く利用できるようになると良いですね。

無印良品

無印良品では洋服に限らず、自社製品のタオルやシーツ、カバーなど衣類全般の回収を行っています。下着と靴下は対象外ですが、かさばるシーツ類が回収できるのは助かりますね。

回収するには、リサイクルを希望する衣類を一度洗濯し、無印良品の店舗へ持ち込みます。回収した製品はバイオエタノールなど、地球に優しいエネルギーとして再活用。また、一部の商品は染め直しなどの手を加え、「ReMUJI」として再販売されることもありますよ。

adidas

adidasでは直営店の中の15店舗に、「Collectors box(コレクターズ・ボックス)」という回収箱を設置しています。自社製品のみではなく、すべてのブランドの不要な衣服やシューズ、バッグなどを対象としていますよ。

リサイクルに出すには、まず対象となっている店舗に不要な製品を持ち込み、コレクターズ・ボックスに記載されているQRコードをスキャンし、メールアドレスを登録。最後に製品を箱に入れて完了です。

特典として、15%割引クーポンが貰えたり、特別なイベントへ招待されたりすることがあります。回収した商品はアパレル・シューズとしてまだ使えるものと、他の用途へ使うものに分別して再活用されるので、資源の節約に貢献できるでしょう。

リサイクルに出す服の選び方

限りある地球の資源を守り、ファッションを心置きなく楽しむためにも、不要になった衣服はリサイクルに出したいところです。しかしいざ回収に出すとなると、手放せず躊躇してしまうかもしれません。ここでは具体的にどんな服をリサイクルに出すべきか、ポイントを解説します。

サイズが合わない服

基本的に、サイズが合わない服はリサイクルに出して良いでしょう。窮屈な服もぶかぶかの服も、あなたの美しさを損なうものです。

「痩せたら着よう」という意識は危険なので、捨てたほうが無難です。もし数年後本当に痩せたとしても、その頃にはトレンドが移り変わっている可能性も否めません。「痩せたらその時に、新しい服を買おう」と考えたほうが、ご褒美を励みにダイエットを頑張れますよ。

好みのデザインでない服

好みのデザインではない服も、回収に出して良い服と言えます。誰しも自分の年齢やトレンドによって、好みの服のデザインは変わっていくものです。

どうしても手放せないなら、シーズン中に1度も袖を通さなかった服はリサイクルに出す、などのルールを決めても良いかもしれません。

状態の悪い服

状態の悪い服も、できるだけリサイクルに出したいところです。しみや黄ばみがついてしまったり、色あせてしまったりした服は、元の状態に戻せないことが多いので、潔く諦めたほうが無難。

毛玉が出た服や、ほつれがある服はメンテナンスをすれば、また着られる可能性もあります。ですが、長期間メンテナンスをせず放置しているようなら、本当はあなたにとって必要のない服かもしれません。

同じようなデザインが複数ある服

理想とするテイストがあったり、好きなデザインが決まっていたりすると、クローゼットが同じような服ばかりということもめずらしくありません。

同じようなデザイン、色、素材の服はそれぞれ1つに絞ると、クローゼットが整理され、いつもと違うデザインにチャレンジする気持ちが湧いてきます。結果コーデにバリエーションが出て、よりファッションが洗練されていきますよ。

他のアイテムと合わせにくい服

他の手持ちアイテムと合わせにくい服も、リサイクル候補となります。単体では気に入っていても、合わせづらくコーデに迷う服は意外と多いものです。思い切って回収に出してみると、服を選ぶ際の悩みが軽減されるかもしれませんよ。

リサイクルと同時に物を増やさない生活へ

部屋でくつろぐ女性

コロナによるステイホームの影響もあり、衣類に限らず家庭ゴミの増加が問題視されています。アパレルブランドが実施しているリサイクルにチャレンジして、少しでもゴミの削減や環境保護に貢献したいところです。また整理整頓されたクローゼットを保ち、不必要なものを買わないという心がけも、私達が気軽にできる環境保護活動と言えそうですね。

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