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ファストファッションがもたらす汚染問題。時代はスローファッションへ

ファストファッションが流行してさまざまなファッションを気軽に楽しめるようになった反面、それに伴う環境汚染問題は深刻さを増しています。この記事では、ファストファッションがもたらす汚染問題の現状に迫るとともに、現状を打破すべく近年注目を集めているスローファッションについても詳しく解説します。

ファストファッションとは

カラーバリエーションが充実したTシャツ

ファストファッションの問題点を知る前に、まずはファストファッションがどういったものかをおさらいしましょう。ファストファッションによって急激に増えた衣類の生産と廃棄の現状についてもお届けします。

ファストファッションの意味

ファストファッションとは、トレンドファッションを安価に、大量に売り出すファッションのありかたです。流行に合わせて短いサイクルで商品を入れ替えるのが特徴で、安い・おいしい・早いで知られる「ファストフード」のファッション版のような意味で使われます。バブル崩壊で高級ブランド人気が落ち着いた1990年代後半頃に台頭し、現在では世界展開しているブランドも多く存在します。

ファストファッションにより生産量と廃棄量が激増

ファストファションブランドは大量生産によって製作コストを下げています。その結果、現在衣類の生産量は2000年のほぼ2倍に。消費者は流行りの洋服をたくさん買うようになりましたが、それだけ処分の量も増えています。2014年に消費者が購入した衣類は、2000年に比べて6%増加した一方で、着用する期間は半分に減っているのです。

ファストファッションがもたらす環境汚染の現状

大量に廃棄される衣服

石油業界に次いで2番目に環境汚染を生み出すと言われるアパレル・ファッション産業。大量生産・大量廃棄のファストファッションがもたらす環境への悪影響には具体的にどのようなものがあるのでしょうか。

製造や処分による大気汚染

現在、世界中で毎秒トラック1台分の衣類が焼却や埋め立てで処分されています。二酸化炭素の増加は地球温暖化などの環境問題をもたらしますが、人間の活動で排出される二酸化炭素のうち10%はファッション産業によるものと言われています。焼却処分時の他、製造過程でも大量の二酸化炭素を排出。さらに、安く大量に衣類を作るために約9割以上の衣類を中国などから輸入しているファッション業界は、輸送過程でも二酸化炭素を排出しているのです。

安価な衣類の洗濯による海の環境汚染

衣類の洗濯によって毎年50万トンのマイクロファイバーが海に流出しています。ペットボトルに換算するとなんと500億本という膨大な量です。マイクロファイバーの原料となるポリエステルは衣類の60%に含まれており、安価な服は洗濯機で躊躇なく洗われるため、マイクロファイバーが多く流出してしまいます。

またマイクロファイバーは海に流れ込んでも分解されない厄介な物質です。食物連鎖によって小魚やそれを捕食する魚・鳥などの体内に有害物質が溜まり、やがて人体にも悪影響を及ばす危険性が懸念されています。

染色による水質汚染

世界の産業由来の水質汚染のうち20%はファッション産業が原因と言われています。なかでも生地の染色は世界で2番目に大きな水の汚染源であり、染色で汚染された水がそのまま水路や川に流されていることが問題視されています。しかも染色に必要な水は年間オリンピック競技用プール200万杯分という膨大な量なので、被害は深刻です。

ファストファッションブランドも!環境問題に取り組むブランド

ファストファッションブランドの店舗

ファストファッションが生み出した数々の問題を解決すべく、これまでに多くのブランドが対策を打ち出してきました。ファストファッションブランドだけでなく、ハイブランドを含む多くのブランドがこの問題に精力的に取り組んでいます。その代表的な例と活動内容を紹介します。

ユニクロ

ユニクロは世界2000店舗でのレジ袋や包装材の脱プラスチックを発表しています。自社の取り組みとして、回収ボックスでリサイクルとリユースを促進。回収された衣類は世界中の服を必要としている人達に届けられる他、リユースできない場合は燃料やリサイクル素材として活用されます。レジで回収しているダウン商品のリサイクルの場合のみ、1,000円クーポンが配布されます。

ザラ

ザラの親会社のインディテックスは、同社傘下のブランドに関して2020年時点でサステナブル素材の使用率を25%、2025年までには100%にすることを明言。既にレジ袋をすべて紙製にしている他、古着回収プログラムも行っています。全世界でこれまでに3万4000トンの衣類を回収済みで、2020年末までには世界中の全店舗にコンテナを設置する方針を打ち出しています。

パタゴニア

一つのウェアを長く着て衣類の廃棄を減らすことを提言するパタゴニア。2019年冬に日本各地のスキー場でスキー・スノーボードウェアの修繕をするワークショップ「Worn Wear ツアー」を開催しました。ホームページや各メディアで、衣料品の廃棄量を減らすなど、環境保全の呼びかけも行っています。さらに、売上の一部を環境団体に寄付するなどの実績も。

ファストファッションの汚染問題を解消!スローファッションとは

ハンガーにかかったオーガニック素材の衣類

ファストファッションによる多くの問題を解消すべく注目を集めているのが、スローファッションです。言葉の意味と、取り入れるメリットの解説とともに、スローファッションを意識するブランドも紹介します。

スローファッションの意味

スローファッションとは、上質で着心地の良い服を大切に長く使うファッションの価値観のことで、地球環境や労働環境に配慮したファッションに広く使われる言葉です。大量生産・大量消費のファストファッションとは真逆の意味を持ち、エシカルファッションの理念に通ずるものです。大切に着た服は手放すときにもフリマアプリなどでリユースでき、次に使いたい人に受け継がれてエシカルな連鎖が続きます。

スローファッションを取り入れるメリット

自分に合った洋服をしっかり選んで大切に長く着れば、衣類の寿命を伸ばせます。スローファッションを掲げるブランドの洋服は自然・天然素材やリサイクル素材など人や環境に配慮した素材を使い、環境を汚さない方法で作られる場合が多く、そういった商品を選ぶことで環境対策に貢献できるのです。

また、環境問題に関するメリットだけでなく、ファッションアイテムとしても優秀なのも特徴です。スローファッションのアイテムは素材や機能やサイズ感にこだわったものが多く、気持ちよく身につけられます。量より質を重視したアイテムがあれば、日々の洋服選びのストレスも減ります。

①Vivienne Westwood(ヴィヴィアン・ウエストウッド)
確かなデザイン性で人気のブランド。スローファッションを意識したアイテムを多数販売し、洋服を通して社会貢献をしています。フェアトレードやオーガニックコットンの使用、アフリカの貧困地域に住む生産者の支援などを積極的に行なっています。

②otte nutte(オッテヌッテ)
株式会社大醐が展開する日本のブランドです。「日本の物づくり」にこだわり、天然素材を日本国内の工場で加工、商品化しています。同社のセレクトショップ「ほほほ」でも、さまざまな上質なフェアトレード商品を展開。

③tennen(天撚)
「循環する服。やさしく自然に還る服。」がコンセプトの2018年創立の日本のブランド。自然の素材に徹底的にこだわっており、スローファッションのブランドにしてはお手ごろ価格なのが特徴です。

スローファッションを展開するブランド

①Vivienne Westwood(ヴィヴィアン・ウエストウッド)
確かなデザイン性で人気のブランドですが、スローファッションを意識したアイテムを多数販売し、洋服を通して社会貢献をしています。フェアトレードやオーガニックコットンの使用、アフリカの貧困地域に住む生産者の支援などを積極的に行なっています。

②otte nutte(オッテヌッテ)
株式会社大醐が展開する日本のブランドです。「日本の物づくり」にこだわり、天然素材を日本の工場で加工、商品化しています。同社のセレクトショップ「ほほほ」でも、さまざまな上質なフェアトレード商品を展開。

③tennen(天撚)
「循環する服。やさしく自然に還る服。」がコンセプトの2018年創立の日本のブランド。自然の素材に徹底的にこだわっており、スローファッションのブランドにしてはお手ごろ価格なのが特徴です。

ファストファッションの汚染問題を知り、よりエシカルな選択を

整頓されたクローゼットから衣装を選ぶ女性

便利でお得感のあるファストファッションですが、環境汚染問題は深刻です。ファストファッションが生み出す問題点の現状を知るとともに、注目が集まるスローファッションへの知識を深めてエシカルな選択ができるよう心がけましょう。

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