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コラム

今、企業に求められる【CSR】とは?アパレル業界が力を入れる活動も紹介

CSRとはCorporate Social Responsibility(企業の社会的責任)の略語で、 企業が組織活動を行うにあたって担う社会的責任のことです。この記事ではCSRとは何かを説明し、ハイブランドのCSR活動を中心にアパレル業界の取り組みを紹介します。

企業に求められるCSRとは

ぼやけた背景に一輪の白い花

出典 Unsplash

まずはCSRとは何か、言葉の意味や目的について説明します。

「企業の社会的責任」という意味

CSRとはCorporate Social Responsibilityの略称です。日本語にすると「企業の社会的責任」となります。社会の健全な発展を目指して企業ができることは何かを考え、自社の利益追求だけでなく社会へ与える影響への責任を考えて行動することを意味します。

活動を通して企業の信頼を確かなものにすることが目的

企業の社会的責任に焦点を当てた取り組みや活動が、CSR活動です。それは消費者、投資家、従業員、取引先、地域社会など、あらゆるステークホルダー(利害関係者」を対象に、社会的ルールや環境への配慮を取り込む活動でなくてはいけません。最終的に企業の信頼を確かなものにすることが目的で、さまざまな企業がCSR活動への取り組みを強化しつつあります。

CSRとサステナビリティの違い

CSRに関連する言葉として、サステナビリティという言葉を聞いたことがある人も多いでしょう。CSRとサステナビリティは似たような意味を持ちますが、意味合いが異なります。サステナビリティは「持続可能性」の意味を持ち、主に、環境・社会・経済の観点で社会全体が目指す共通の価値観のこと。一方、CSRはサステナビリティを実現させるために企業が取り組む活動の1つです。

アパレル業界が取り組んでいるCSR活動例

コーディネート一式と黄色いチューリップ

出典 Unsplash

アパレル業界においても、さまざまなCSR活動が行われています。特に海外のアパレル企業が行っているCSR活動の中には、サステナビリティにつながっている例も多く存在します。ここでは世界トップクラスのハイブランドが、サステナビリティの実現のために取り組んでいるCSR活動の事例を紹介します。

グッチ(Gucci)

グッチは経営方針・企業活動の中核に「持続可能な価値」の実現という理念を掲げ、サステナブルを意識した活動を展開している企業です。国際的な規格・基準や評価方法を採用し、CSR方針の効果的な実施、モニタリング、継続的な改善を行っています。2019年には自社および全サプライチェーンにおいて、年次ベースで温室効果ガスの排出を相殺することに成功。さらに製造過程で生じる布やレザーの端切れのアップサイクル「Gucci-Upプログラム」などの循環型アプローチも行っています。

またオーガニック繊維や再生ナイロン・再生カシミヤの使用を増やし、プラスチックや金属をリサイクルのものに切り替える他、児童婚の廃絶や少女・女性のエンパワメント支援、さらに野生生物の保護といったさまざまな試みを実施しています。グッチのCSR活動実績は、サステナビリティに特化したデジタルプラットフォーム「Gucci Equilibrium(グッチ エクリブリウム)」で確認できる他、自社事業が地球環境に与える負荷を金額ベースで開示する「環境損益計算書」も公開中です。これらの実績はラグジュアリーブランドで2年連続1位を達成しています。

プラダ(Prada)

プラダはオンラインでCSRレポートを公開しており、人材、環境、文化遺産という3つの観点でさまざまな取り組みをしていることがわかります。例えば、2020年度には「再生紙・森林認証紙の利用88%」「再生可能エネルギーの使用43%」「女性従業員の比率62%」などの成果を出しました。またプラダのナイロンは、2019年に「リナイロン(Re-Nylon)」という名で大きな進化を遂げました。海から回収したプラスチック廃棄物や漁網、繊維廃棄物を再利用&浄化してできた再生ナイロン糸「エコニール(ECONYL®)」を使用し、サステナブルな活動に取り組んでいます。

その結果、ナイロンに起因する温暖化の影響を最大80%削減し、繊維1万トン製造ごとに、7万バレル(約1100万リットル)の石油を節約する成果を出しました。2020年以降、ウエアやシューズ、アクセサリーなどに「リナイロン」を広く使用し、2021年末までに、すべてのナイロン素材を「リナイロン」に切り替えることを目標に掲げています。

ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)

ルイ・ヴィトンでは、他社に先駆けて2004年に二酸化炭素排出量への取り組みを開始しました。ISO14001認証企業として、資源の保全、森林伐採の回避、動物福祉の尊重、有害化学物質の排除、大気や水質の汚染を食い止めることなどを優先課題とし、全サプライチェーンにおいて原材料や店舗建材の透明性と説明責任を果たす取り組みを進めています。ブランドの目標は、2025年までに100%責任を持った原材料の調達、2030年までに使い捨てプラスチックの使用率を0%にすることです。実際に、2020年時点で使用する原材料の70%は認証を獲得しています。

その他、実績の一例として、レザーのなめし工場78%が最高環境基準であるLWG(レザー・ワーキング・グループ)の認証を取得した他、ハードトランクに使われる木材の90%が国際基準のサステナブル方法で管理された森林のものを利用するなどしています。さらにショッピングバッグは100%リサイクル可能かつ100%FSC®(森林管理協議会)認証を取得しており、うち40%がリサイクル繊維を使用。年間約250回もの監査を実施し、動物福祉と原材料のトレーサビリティを徹底しています。

日本アパレル・ファッション産業協会のCSR委員会活動

ガラスの花瓶に生けられた二枚の葉

出典 Unsplash

日本のアパレル業界でもCSRへの関心が高まっています。一般社団法人 日本アパレル・ファッション産業協会(JAFIC)におけるCSR委員会の活動について紹介します。

CSR憲章

アパレル・ファッション業界の健全な発展と持続可能な社会の実現のため、自らの社会的責任を認識し、以下の 7 つの指針を作成しました。
1.人権
2.労働慣行
3.環境
4.公正な事業慣行
5.消費者・顧客
6.コミュニティーへの参画と発展
7.組織統治

ふくのわプロジェクト

JAFICではSDGsに掲げられているターゲットを視野に入れ活動を行っており、CSR委員会の環境対策小委員会は「リユース・リサイクル活動」において、SDGs4:質の高い教育をみんなに、12:つくる責任つかう責任の達成を目指しています。さらに産経新聞社主催「ふくのわプロジェクト」ではリユース・リサイクルを推進し、パラスポーツの応援も行っています。

なお、SDGsとは、Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)の略で、2015年9月の国連サミットで採択された開発目標です。国連加盟193か国が2015年~2030年の15年間で達成するために掲げた、17の大きな目標と具体的な169のターゲットが存在します。

外国人技能実習生に関する調査

日本国内の縫製工場には多数の外国人技能実習生が訪日していますが、不正行為が横行しているのが現状です。2018年10月の法務省・出入国在留管理庁の発表では「繊維・衣服関係」が上位を占めます。製品の発注者であるアパレル企業が外国人技能実習生の現況把握が重要課題であり、JAFIC CSR委員会では会員企業に確実に取り組めるように調査書を作成しました。

アパレル企業のCSR活動に対して消費者ができること

サボテンとハンガーに吊るされた衣類

出典 Unsplash

最後に消費者としてできるCSR活動へのアプローチについて紹介します。

好きなブランドのCSR活動をチェックする

商品製造の背景、自然環境や生産者、動物などへの配慮ががなされているのかなど、好きなブランドのCSR活動をチェックしてみましょう。アパレル企業が取り組むCSR活動の多くは商品にも直接関わるため、商品にまつわる社会貢献の背景について考えながら、買い物をする企業を選ぶことが大切なのです。

CSR活動に関連する商品を買う

CSR活動をしている企業から商品を購入すれば、個人としてCSR活動に参加できます。例えば、リサイクル繊維で作られた製品や、動物福祉を尊重する理念を掲げる企業から商品を買うなどがその一例です。消費者一人ひとりの心がけが企業に貢献し、やがて社会全体のサステナビリティへとつながるのです。

アパレル業界のCSR活動を知り、サステナブル意識を高めよう

後手に菜の花を持つ女性

出典 Unsplash

アパレル業界が取り組むCSR活動を調べたり、CSR活動に積極的な企業の製品を購入したりすることで、消費者側もアパレル業界のCSR活動に参加できます。まずは、身近なアパレル企業が取り組むCSR活動について知ることから始めてみませんか。

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aki
サムネイル: aki
ヴィンテージアイテムが大好きな27歳。海外の古着屋さん巡りで自分だけのアイテムを見つけるのが趣味。好きなブランドはMARNI。憧れブランドはCHANEL。